腫瘍をめぐるQ&A
Question レスベラトロールの真実:miRNA制御による抗癌作用
掲載誌
Surgery Frontier
Vol.19 No.4 80-83,
2012
著者名
萩原啓太郎
/
落谷孝広
記事体裁
抄録
疾患領域
癌
/
栄養管理
診療科目
一般内科
/
腫瘍内科
/
老年科
媒体
Surgery Frontier
「Answer」「はじめに」人類は古来より健康を維持するために, 食品から多くの天然化合物を摂取してきている. たとえば1日に2~3杯の赤ワインを飲むことで, アルツハイマー症, 冠動脈硬化疾患などのリスクを下げることが疫学研究で報告されており1)2), 赤ワインに多く含まれるレスベラトロールがそれらの効果を示す成分として注目されている. さらに, レスベラトロールは現在までに多くの癌種において, さまざまなシグナル伝達系を調節することで抗癌作用を示すことが報告されている3). 本稿では, こうした天然化合物による抗癌作用機序のひとつとして, レスベラトロールがマイクロRNA(microRNA;miRNA)生合成経路を調節するといった, 新たな知見を紹介する4). 「miRNAの発現異常と癌」小分子非翻訳RNA(small non-coding RNA)のひとつであるmiRNAは, 1993年に線虫で発見され, 現在に至るまで, 動植物を含むさまざまな生物種で報告されている5).
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。