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What's New in SURGERY FRONTIER

第75回最新の脂肪酸バイオロジー研究 脂肪組織炎症

水口徹中村幸雄平田公一三高俊広

Surgery Frontier Vol.19 No.4, 64-67, 2012

脂肪組織炎症は, 非常に軽度の“慢性炎症”による新たな疾患として注目されつつあり, 消化器外科領域では非アルコール性脂肪肝(non-alcoholic fatty liver disease;NAFLD), 非アルコール性脂肪肝炎(non-alcoholic steatohepatitis;NASH)として知られている. 本邦ではエコー検査を施行した9~30%にNAFLDが指摘されている. NASHはNAFLDの10~20%とされ, 全成人人口の数%と推定されている. 肝硬変の原因としてC型肝炎は60%程度で, B型肝炎は15%程度とされNASHは2%程度とされている1). さらに, 病態が進行すると肝癌も発生し, 従来のウイルス性肝炎・肝硬変を基礎疾患とした肝細胞癌とは別に, 症例数は増加傾向にある. 実際, 当科において経験した初回の肝細胞癌切除例をみても地域的な特徴であるB型肝炎を背景とした肝細胞癌は約50%近く占めているが, C型肝炎を背景としたものは抗ウイルス療法の改善もあったのか減少傾向にあり, 一方で, ウイルス肝炎以外の発癌を示した症例が増加している(表1).

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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