腫瘍をめぐるQ&A
Question アスピリンと発癌抑制
掲載誌
Surgery Frontier
Vol.19 No.1 86-88,
2012
著者名
大塚正久
/
山本 浩文
/
森 正樹
記事体裁
抄録
疾患領域
消化器
/
癌
診療科目
一般外科
/
消化器内科
/
腫瘍内科
/
消化器外科
媒体
Surgery Frontier
Answer「はじめに」アスピリン(サリチル酸メチル)は非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs; non-steroidal anti-inflammatory drugs)のひとつであり, 消炎・解熱・鎮痛目的に広く用いられている. NSAIDsの発癌抑制について, 大腸癌をはじめとする多くの癌腫で臨床試験が行われている. 近年では, 選択的シクロオキシゲナーゼ(COX)-2阻害剤を用いた大規模臨床試験の結果も報告され, 特に消化器癌での癌抑制作用が示されている. 本稿では, アスピリンの発癌抑制作用の機序とともにアスピリンを含めたNSAIDsによる発癌抑制についての臨床試験の知見について述べる. 「どのような機序でアスピリンは発癌を抑制するのか?」アスピリンは, アラキドン酸カスケードの初期段階の酵素である, COXを阻害し, プロスタグランジンE2の合成を抑制することが知られている. COXには消化管などに恒常的に存在するCOX-1, 炎症・サイトカイン・増殖因子などによって誘導されるCOX-2, 脳などに存在するCOX-3がある.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。