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腫瘍をめぐるQ&A

Question 癌幹細胞の根治治療に向けた研究

武石昭一郎中山敬一

Surgery Frontier Vol.19 No.1, 82-84, 2012

Answer「はじめに」近年(少なくとも一部の)癌において, 癌幹細胞と呼ばれる細胞が存在することが明らかとなっており1)2), 癌組織を構成している細胞はこの癌幹細胞によって供給されていると考えられている. 癌幹細胞の存在は臨床的にも重要な問題である. なぜならば, 癌幹細胞は抗癌剤治療などの従来の癌治療に抵抗性であることが知られており, 治療後も癌幹細胞は残存するからである. この残存した癌幹細胞から再び癌細胞が生じるのが「再発」であり, 癌幹細胞がほかの部位へ移動し癌細胞を生じるのが「転移」である. したがって, 癌を根治するためには癌幹細胞を根絶する必要があり, このような癌幹細胞を標的とした治療の実現には, 癌幹細胞の治療抵抗性のメカニズムを解明することが重要であると考えられる. 「癌幹細胞の治療抵抗性のメカニズムの解明」従来の癌治療の戦略は, 異常な増殖能を獲得した癌細胞の細胞周期の進行を妨げることであった.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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