<< 一覧に戻る

特集 病態と遺伝子多型

肥満

堀田紀久子

Surgery Frontier Vol.19 No.1, 9-14, 2012

「Summary」近年, わが国においても食生活やライフスタイルの欧米化にともない, 糖尿病, 高血圧, 脂質代謝異常, 動脈硬化などの生活習慣病が増加してきている. これらの代謝異常は冠動脈疾患の危険因子となり, その数が多いほど冠動脈疾患を発症しやすい. こうした病態はメタボリックシンドロームと称される. 肥満, 特に内臓脂肪蓄積はメタボリックシンドロームの重要な因子である. 肥満発症には環境因子のみならず, 遺伝素因が重要であることが知られている. 近年一塩基多型(single nucleotide polymorphism ; SNP)を用いた全ゲノム関連解析研究(genome-wide association study ; GWAS)により次々と肥満や内臓脂肪蓄積に関連する遺伝子多型が同定されてきている. 「肥満の遺伝性素因」疫学的研究によると体格指数(body mass index ; BMI)の規定因子として遺伝素因が約60%寄与することが報告されており肥満発症には遺伝素因がかなり重要であると考えられてきた1).

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る