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腫瘍をめぐるQ&A

Question 放射線による発癌の考え方

中村典

Surgery Frontier Vol.18 No.4, 100-101, 2011

Answer
放射線による発癌の考え方
 約12万人の原爆被爆者の疫学調査(被爆していない対照者も含まれている)により,放射線被曝による発癌影響がかなり明らかになってきた。概要としては,白血病の過剰発症は早期に始まった(特に小児。5年以内)が,固形癌の過剰発生が顕在化するまでには20年以上かかったと特徴づけられる。

 癌のリスク(罹患率でも死亡率でもほぼ同じ)の線量反応は直線的であり,1シーベルト(Sv)被曝による相対リスクは,30歳で被曝した人が70歳に到達した時点で約1.5倍である。閾値(それ以下では影響がないような線量)があるようには思われない(図1)。

白血病の相対リスクは,同じ1Svの被曝で約5倍になっている。ただし,絶対リスク(過剰例数)表示では癌のほうが白血病より5倍ほど多い(もともと白血病はまれな病気なので,過剰例数は少ない)。すなわち,約2.5~3km以内で被爆した約5万人(被曝線量が5mSv以上,平均は約0.2Sv)にこれまでに生じた癌死亡は約6000人で,そのうち放射線被曝に関係した過剰例数は約500人と推定されている(約10%)。他方,白血病は合計約200人であるが,放射線被曝に関連した過剰例数は約100人と推定されている(約50%)。
 子ども(10歳)は大人(30歳)よりも相対リスクは高く(おそらく生涯で2倍程度),熟年者(たとえば50歳)ではリスクは低い(30歳の場合の半分程度:図2)。

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