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実験講座

donor-specific HLA antibodyの検索法

佐藤壯高原史郎

Surgery Frontier Vol.18 No.4, 73-78, 2011

はじめに
 臓器移植におけるドナー特異的抗体(donor-specific antibody;DSA)の重要性については,腎臓移植のみならず肝臓移植や心臓移植などでもすでに多数報告されている1)2)。既存抗体の存在は超急性拒絶や急性抗体関連型拒絶の原因となり,de novo抗体の出現は移植臓器の機能低下や廃絶の大きな要因となる3)-5)。
 DSAの標的は自己とは異なる非自己抗原で,最も重要なのは主要組織適合性抗原複合体(major histocompatibility complex;MHC),すなわちヒト白血球抗原(human leukocyte antigen;HLA)である。HLAは,最初に白血球に発現しているのが確認されたためにそう名付けられたが,実際にはすべての有核細胞に発現しており,HLAとヒトMHCは同義である。

Key Words
臓器移植,human leukocyte antigen,donor-specific antibody,crossmatch,マイクロビーズ

はじめに(続き)

 HLA-DSAの検索法としては,
 ①crossmatch検査(XM)法
 ②HLA抗体検査法
がある。前者ではcomplement dependent cell cytotoxicity (CDC)法6)やflow cytometry crossmatch (FCXM)法7),後者ではCDCを原理とするpanel reactive antibody (PRA)法やHLAを固相化したenzyme-linked immuno sorbent assay (ELISA)法8)などが用いられてきた。しかし,CDC法,PRA法やELISA法はその感度の低さが,FCXM法は非特異反応の多さが問題となっていた。そこに登場したのがマイクロビーズ法である。
 本稿では,HLA-DSAの検索法として近年急速に普及しつつあるFlowPRA®法,LABScreen®法およびマイクロビーズを用いたXM法として普及が期待されるimmunocomplex capture fluorescence analysis (ICFA)法について概説する。

FlowPRA法

 FlowPRA® Single AntigenはOne Lambda (http://www.onelambda.com/)から市販されている試薬である9)。直径約3μmのラテックスビーズに遺伝子工学的に精製された単一のHLAが固相化されている。異なるphycoerythrin (PE)蛍光をもつ,HLAが固相化されたビーズ8種類と,なにも固相化されていない陰性コントロールビーズ(negative control beads;NCB)を混合した試薬で1グループとなっており,class Ⅰは10グループ80種類,class Ⅱは5グループ40種類のHLA抗体を同定できる(添付文書あるいはホームページ参照)。
 測定方法は,試薬と陰性コントロール血清(negative control serum;NCS),被験血清,陽性コントロール血清(positive control serum;PCS)をおのおの室温・暗所で30分間反応させ,wash bufferで洗浄後二次抗体としてfluorescein isothiocyanate (FITC)標識抗ヒトIgG抗体を加え室温・暗所で30分間反応させる。wash bufferで洗浄後,FACSCaliburTM (Becton Dickinson)やCytomics FC 500 (Beckman Coulter)などのflow cytometerに取り込み,解析する。被験血清中にビーズに反応するHLA抗体が存在すれば,FITC蛍光強度が増強しビーズ集団は右側にシフトする(図1)。

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