はじめに  ナイーブリンパ球は血管系と二次リンパ系器官を再循環している。二次リンパ系器官で抗原と出会い活性化すると,非リンパ系組織への移動が可能となる。特に,その抗原と出会ったリンパ系器官が所属する組織に移入する性質を獲得する。このような移入を組織特異的ホーミングという。これにより,抗原特異的なリンパ球を抗原の侵入部位に的確に移動させることが可能となる。ホーミング特異性をリンパ球にインプリントするメカニズムは長年,謎であった。われわれは,小腸ホーミング特異性をインプリントするメカニズムに,ビタミンA代謝産物のレチノイン酸(retinoic acid;RA)が必須の役割を演ずることを発見した1)2)。