はじめに
ヒト腸管内には100兆個オーダーの1000菌種を越える細菌種からなる腸内細菌叢が形成されている1)。腸内細菌叢は宿主への栄養やエネルギー源の供給,腸管細胞の分化や成熟,感染症の防御などの有益な効果を有する。一方で,炎症性腸疾患や肥満,自己免疫糖尿病などのさまざまな病気の素因にもなる2)-5)。長年にわたり,細菌の培養分離などによって腸内細菌の研究が行われてきたが,その複雑さや多くが培養できない菌種(難培養細菌種)であるなどの理由で,その実体や生理機能の解明は大きな限界に直面していた。しかし,今日では次世代シークエンサーを用いたゲノム科学的アプローチで,従来では困難であった網羅的で包括的な研究が可能になってきた。
全文記事
What's New in SURGERY FRONTIER
第71回粘膜の監視・排除・共生システム ヒト腸内マイクロバイオーム
掲載誌
Surgery Frontier
Vol.18 No.4 64-67,
2011
著者名
服部正平
記事体裁
連載
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全文記事
疾患領域
消化器
診療科目
一般内科
/
消化器内科
/
老年科
媒体
Surgery Frontier
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。