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What's New in SURGERY FRONTIER

第71回粘膜の監視・排除・共生システム 小腸樹状細胞の新たな分類と免疫機構

藤本康介植松智

Surgery Frontier Vol.18 No.4, 60-63, 2011

はじめに
 腸管の恒常性は非常に複雑な免疫機構により制御されている。最近の研究により,腸管にはユニークな機能をもつ樹状細胞が複数存在し,それらが腸管の免疫応答の制御において重要な役割を果たすことが明らかとなってきた。本稿では,小腸粘膜固有層の樹状細胞について最新の知見をふまえて概説する。

小腸粘膜固有層の樹状細胞

 従来の研究により,マウス小腸粘膜固有層にはCX3CR1陽性樹状細胞とCD103陽性樹状細胞の2つの代表的な樹状細胞の集団が報告されている1)2)。CX3CR1陽性樹状細胞は,上皮のタイトジャンクションの間隙から自身の樹状突起を伸長して管腔の細菌を捕捉することが知られているが3)4),腸間膜リンパ節への移動,T細胞刺激,ホーミング誘導などの機能は乏しく5),免疫応答の修飾は粘膜固有層に限定されていると推測される。一方,CD103陽性樹状細胞は腸管粘膜固有層において主要な樹状細胞であり,CCR7依存的に腸間膜リンパ節へと移動する6)。また,自身の産生するレチノイン酸を介してFoxp3陽性制御性T細胞を誘導することが報告されており7)-9),防御応答に重要な細胞と考えられている。筆者らは,小腸粘膜固有層の細胞をCD11cとCD11bの発現パターンによってCD11chi CD11blo樹状細胞,CD11chi CD11bhi樹状細胞,CD11cint CD11bintマクロファージ,CD11cint CD11bhi好酸球の4つのサブセットに分類した(図1A,B)10)。

さらに,各細胞に発現する細胞表面マーカーを詳しく調べたところ,CD11chi CD11bloサブセットとCD11chi CD11bhiサブセットにCD103の発現を認めた(図1C)11)。

TLR5陽性小腸樹状細胞

 小腸粘膜固有層の樹状細胞は,古典的な樹状細胞に比べて非常にユニークなTLR (Toll-like receptor)の発現を呈する。筆者らは,細菌の鞭毛を構成するフラジェリンを認識するTLR5が小腸粘膜固有層の樹状細胞に高発現しており12)13),その発現はCD11chi CD11bhi樹状細胞に特異的であることを明らかにした10)。CD11chi CD11bhi樹状細胞はTLR5依存的にIL-6やIL-12を産生し,炎症応答を誘導する。CD11chi CD11bhi樹状細胞はレチノイン酸産生に必要なレチナール脱水素酵素を発現しており,TLR5依存的に誘導される炎症性サイトカインと協調してナイーブB細胞に作用することでIgA産生形質細胞へと分化させた10)。in vivoでもIgA産生にはTLR5が重要であり,CD11chi CD11bhi樹状細胞によるIgA産生はT細胞非依存的に誘導されることがわかった10)。CD11chi CD11bhi樹状細胞はTh応答に対しても重要な役割を果たしており,TLR5のリガンドのフラジェリンに反応して抗原特異的なTh1細胞とTh17細胞を誘導した(図2)10)14)。

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