Summary
東日本大震災により,福島県浜通りにある福島第一原子力発電所が大きな被害を受けた。原子力災害に対する二次被ばく医療機関に指定されていた福島県立医科大学附属病院はその対応に追われることとなった。
福島県立医科大学附属病院には,2001年にさまざまな計測機器を備えた緊急被ばく医療施設が完成していた。また,「福島県緊急被ばく医療活動マニュアル」(2003年5月),「被ばく医療活動マニュアル」(2002年5月)を定めて,毎年1回の福島県が行う原子力防災訓練に参加していたので,被ばく・汚染患者の発生に対応する準備を整えた。3月15日の午後3時頃から雨が降りはじめ,核医学に設置されているモニタリングポストのモニターの警報により福島市への本格的放射能汚染を知った。15日以降は,人数は少なかったが原発内での汚染を受けた傷病者(12名)の対応におわれた。福島市では,3月15日~17日,3月22日に放射能の飛散が認められたが,その後は,新たな放射能の飛来はなく,地表面のセシウム汚染が定着した状態となり,空間線量率の高低が話題となり,汚染ならびに被ばくの評価と対応に関する問題が重要となった。
原発立地の福島県「浜通り」地区は,まず一般地域医療の整備が必要であり,緊急被ばく医療だけの問題ではない。このような観点からも,早急な緊急被ばく医療ネットワークの再構築,現行の再確認などが重要と思われる。
全文記事
大震災後のよりよい医療の復旧・復興を目指して
緊急被ばく医療体制と東電原発事故災害への対応および今後の課題
掲載誌
Surgery Frontier
Vol.18 No.4 35-38,
2011
著者名
宍戸文男
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田勢長一郎
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佐藤久志
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宮崎真
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長谷川有史
記事体裁
特集
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全文記事
疾患領域
その他
診療科目
手術・救急
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放射線科
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その他
媒体
Surgery Frontier
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。