Summary  東日本大震災と津波によって東北三県は甚大な被害を被ったが,震災直後より,福島県内では精神科医の不足が深刻となった。これには原発事故による放射能の影響が色濃く認められた。福島県立医科大学心のケアチームは,他県の医療機関に協力を直にお願いし,心のケアチームを組織し,放射能問題で支援の入りにくい浜通りに支援を集中させた。いわき地区における活動は,各避難所における巡回診療・相談が中心であった。また,相双地区においては,避難指示あるいは屋内待避指示(現在,緊急時避難準備区域)が出された地域に,4つの精神病院のすべてが含まれたため,精神科入院機能がすべて失われ,約800人の入院患者は県内外の病院に移送された。一方,外来患者は通院先を失ってしまった。これらに対応すべく,公立相馬総合病院に臨時の精神科クリニックを開設し,外来診療,地域の巡回診療を行っているが,今後はアウトリーチ型の精神医療の導入を検討せざるを得ない状況である。