大震災後のよりよい医療の復旧・復興を目指して
大震災における災害派遣医療チーム(DMAT)の活動
DMAT activity in Great Earthquake
Surgery Frontier Vol.18 No.4, 13-18, 2011
Summary
阪神淡路大震災や新潟県中越地震の教訓から,本邦には全国的にDMATが整備されてきた。そして,その活動を支援するものとして,広域災害情報システムも機能拡充してきた。
東日本大震災において,DMATは,47全都道府県から380チームのDMATが迅速に参集して,岩手県,宮城県,福島県,茨城県において活動した。活動期間は,3月11日~22日の12日間であった。活動内容は,調整本部などの本部運営,病院支援,域内搬送,広域医療搬送,病院入院患者避難搬送であった。このように,災害急性期への対応システムは東日本大震災でもその有効性が確認された。
しかし,現在想定される首都直下地震,東海地震,東南海・南海地震においては,さらに重大な被害が想定されている。このような震災に対応するためには,さらなる体制の充実とその維持が重要である。
Key Words
DMAT,EMIS,広域医療搬送,SCU,災害医療
DMATとは
災害派遣医療チーム(DMAT)とは,「災害の急性期(48時間以内)に活動できる機動性をもった,トレーニングを受けた医療チーム」である。阪神淡路大震災以降,広域医療搬送などの災害医療の担い手として,整備の必要性が指摘されていたが,2004年の新潟県中越地震の教訓から,災害時の医療支援を行うための訓練された医療チームの必要性が強く認識され,国によるDMATの整備が開始された。
DMATは「日本DMAT隊員養成研修」の修了者により構成される。DMATは厚生労働省,地方公共団体などからの要請を受けた病院から派遣され,活動内容は,急性期(おおむね48時間以内)における医療救援活動であり,被災地から被災地外へ患者を搬送する広域搬送や被災地内の医療活動支援を行う。
2005年7月の防災基本計画の修正において,広域災害における救急・医療体制の整備および災害派遣医療チーム(DMAT)の充実・活用推進が謳われ,防災基本計画上位置づけられた。DMATのオペレーションについては,この計画を根拠として行われる。
DMATの活動
DMATの活動は,平時における医療機関と都道府県との協定に基づき,被災都道府県からの要請を受けて行われる。初動期における派遣要請の連絡については,厚生労働省を介して,広域災害救急医療情報システムにより,各医療機関に携帯やPCへのメールにより連絡される。
DMATの活動としては,被災地内の活動と広域医療搬送に大別される(図1)。
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※記事の内容は雑誌掲載時のものです。