Summary  播種性血管内凝固症候群(DIC)は,基礎疾患の存在下における全身性持続性の著明な凝固活性化状態という点では共通しているが,線溶活性化の程度,臨床症状,変動しやすい検査所見などの点で相違点も多い。線溶抑制型DICは敗血症,線溶均衡型DICは固形癌,線溶亢進型DICは急性前骨髄球性白血病,大動脈瘤,一部の癌に合併したDICに代表される。DICの診断は,厚生労働省DIC診断基準が最も普及しているが,感染症に合併したDICに対する感度が悪いなど,改善すべき点が多い。DICの治療を行う場合,画一的な治療を行うのではなく,病態に応じて治療方法を選択するという方向性が望まれる。合成プロテアーゼインヒビターは,アンチトロンビン非依存性に抗トロンビン活性を発揮する。代表的薬剤であるナファモスタットメシル酸塩は臨床使用量で抗凝固活性のみならず抗線溶活性も強力なため,特に線溶亢進型DICに有効であり,出血症状が前面に出るタイプのDICに対して相性がよい。