膵島移植の概要と現況  膵島移植は,1型糖尿病患者の重症低血糖発作を防ぎ,生活の質を改善し得る治療法で,ドナーより提供された膵臓から,インスリン産生組織である膵島組織のみを特殊な技術を用いて分離し,局所麻酔下に門脈内に輸注する低侵襲な組織移植である1)。1型糖尿病に対する移植医療としては,膵臓移植と膵島移植が行われているが,膵臓移植は,血管の脆弱性を伴う糖尿病患者に対して血管吻合を伴う開腹手術を必要とし,移植術に起因する合併症が危惧される。