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悪性腫瘍に対する熱凝固療法の適応と限界

【Ⅰ.RFA】転移性肝癌

Radiofrequency ablation for liver metastases

南康範工藤正俊

Surgery Frontier Vol.18 No.3, 44-51, 2011

Summary
 低侵襲性で比較的安全なラジオ波凝固療法(RFA)は,その高い局所制御能から外科的治療と共に局所根治性の高い治療法である。しかし,少ない合併症で治療効果を最大限に引き出すには,術前・術後の緻密な画像評価が欠かせない。実際の腫瘍進展は浸潤性発育や二次的肝内転移のためにBモードで指摘の腫瘍境界より広がっている可能性があり,RFA治療時には遺残再発を予防するためにも十分な焼灼マージンを確保することが肝心である。RFAの適応については一般的に「3cmかつ3個以下」が目安だが,外科的切除とRFAの治療成績を比較した研究によると,生存率について同等であるとの報告がある一方で,外科的切除の方が良好とする報告が多い。根治性を優先する場合は外科的切除を第一選択とし,RFAについては腫瘍径と術者の技量,症例背景を考慮して適応を判断すべきである。

Key Words
ラジオ波凝固療法/転移性肝癌/浸潤性発育/二次的肝内進展

はじめに

 肝臓は消化器癌の転移先として重要な臓器であり,転移病巣を良好にコントロールすることは生存期間の延長に寄与する。転移性肝癌の治療では,肝予備能が比較的保たれていることから,外科的切除など積極的な治療を繰り返すことができ,そのような症例では良好な生存率が得られている1)-3)。しかし,転移性肝癌は多発することが多く,また化学療法などにより肝予備能が損なわれている症例では肝切除術を繰り返し行えないのが現状である。
 近年,ラジオ波凝固療法(RFA)はその高い局所制御能から肝癌に対する根治性の高い治療法として用いられている4)-10)。それまでの肝腫瘍の主な経皮的治療だったエタノール注入療法(PEI)やマイクロ波凝固療法(MCT)と比べ,RFAはムラのない広範囲な壊死の誘導と少ない合併症から,有効性・安全性が評価されており,RFAは外科的肝切除術と共に局所的制御が可能な治療法として位置付けられている。また,低侵襲であるRFAによって肝切除後の転移性肝癌再発についても積極的に行うことが可能である。本稿では,転移性肝癌に対するRFA治療について概説する。

RFA

 RFAは,RF波発生装置と電極針および対極板からなる。RF交流電流が電極針先端の非絶縁部から対極板に流れると,組織インピーダンスによるジュール熱と誘電加熱が発生し,生体蛋白質を凝固変性し,細胞壊死を誘導する。マイクロ波よりも長い電磁波(460~480kHz)が使用され,電極針先端は80~120℃に達する。
 RFAには現在,①RITA社のRITA Model 90,②Boston Scientific社のRF 3000,③Radionics社のCool-tip RF Systemの3機種が使用可能である。RITAの電極針は先端から9本の弧状の金属hookが出る構造,RF 3000は10本のhookが出る構造であるが,Cool-tipは直線状の電極針が用いられる。また,腫瘍凝固は温度でモニターする方式,組織インピーダンスでモニターする方式があり,最大出力も200~250Wとデバイスそれぞれで特徴を有する11)(表1)。

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