Summary  ナファモスタットメシル酸塩(NM)はプロテアーゼインヒビターとして優れた抗凝固作用を有するが,重篤な全身性の炎症や敗血症に合併する播種性血管内凝固症候群に対して,抗凝固作用とともに,早期にその過剰な炎症反応を抑制している可能性が報告されるようになった。筆者は以前より無麻酔・非拘束条件での動物実験モデルにリポ多糖(lipopolysaccharide:LPS)を投与してエンドトキシンショック発症時の影響を調べてきたが,NMは外科手術後自由行動下のマウスにおいてもLPS投与後の体温恒常性維持期間を延長し,予後の改善につながる結果を得た。NMの有用性は臨床でも広く認められているが,今後,より早期の投与が全身状態の改善,治療に役立つと考えられた。