全文記事
腫瘍をめぐるQ&A
Question ニッチとは?癌幹細胞との関係は?
掲載誌
Surgery Frontier
Vol.17 No.1 85-87,
2010
著者名
石本崇胤
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永野 修
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馬場 秀夫
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佐谷 秀行
記事体裁
連載
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Q&Aシリーズ
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全文記事
疾患領域
癌
診療科目
一般外科
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呼吸器内科
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脳神経外科
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整形外科
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産婦人科
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消化器内科
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形成外科
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皮膚科
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泌尿器科
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血液内科
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耳鼻咽喉科
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腫瘍内科
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放射線科
/
消化器外科
媒体
Surgery Frontier
「Answer」「ニッチとは?」ニッチ(niche)とは壁のくぼみを意味する言葉であり, 1978年にSchofieldが組織幹細胞の維持に必要な微小環境をニッチと名付けて以来1), 組織幹細胞はニッチ内に留まることによって, その未分化性, 自己複製能, 多分化能を維持していることが示されてきた2)-4). 組織幹細胞とニッチとの相互関係を分子レベルで明らかにすることは, 組織幹細胞を用いた再生医療を考える上でも極めて重要である. 近年, 骨髄組織中における造血幹細胞のニッチとして骨芽細胞性と血管性の2つのニッチの存在が同定され, ニッチ細胞から産生されるサイトカインや細胞外マトリックスなどのシグナルを介して幹細胞の維持にかかわっていることが明らかになった3)-6). このうち骨芽細胞性ニッチは造血幹細胞を長期にわたり静止状態に留めておくことで未分化性維持に貢献しており, 一方, 血管性ニッチは造血幹細胞の増殖, 分化や末梢への動員にそれぞれ寄与していることが示され, ニッチによる幹細胞制御機構の存在が示唆されている7).
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。