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第64回Non-coding regionにおける遺伝子制御の最近の知見 VNTR(variable number of tandem repeats)遺伝子多型による癌の進行度診断
掲載誌
Surgery Frontier
Vol.17 No.1 56-58,
2010
著者名
石川暢久
/
河野修興
記事体裁
連載
/
全文記事
疾患領域
呼吸器
/
癌
診療科目
一般外科
/
呼吸器内科
/
腫瘍内科
媒体
Surgery Frontier
「はじめに」ヒトのゲノム中にはvariable number of tandem repeats(VNTR)と呼ばれる数塩基~数十塩基が, 単純に繰り返している部分がある. この繰り返し回数は, 個体差があり, またヘテロ接合頻度が非常に高い(多型性に富む)ことから, これまで有用な多型マーカーとして用いられてきた1). 本稿では, MUC1-VNTR遺伝子多型の肺癌における意義を中心に概説したい. 「KL-6とは」われわれは血液中に循環抗原として存在する肺癌関連抗原を探求する目的で, 肺癌細胞に対して反応特異性の高い多数のモノクローナル抗体を作製し2), その過程で間質性肺炎に比較的特異度の高い血清バイオマーカーであるKrebs von den Lungen-6(KL-6)という物質を発見した3)4). その後の検討で, KL-6は膜貫通型の非分泌型ムチンであるMUC1ムチンに属する分子量200kd以上の高分子量糖蛋白抗原であることが明らかになった. 西暦2000年以来, KL-6は間質性肺炎の診断マーカーとして臨床応用され, 現在では年間約140万検体以上の測定が行われているが, 腫瘍マーカーとしての性格も有していることが知られている5).
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。