<< 一覧に戻る

肝不全の各種病態と新しい治療の視点

術後肝不全に対する治療法の選択

居村暁島田光生吉住朋晴森根裕二

Surgery Frontier Vol.14 No.2, 42-50, 2007

肝不全は, 肝細胞機能が低下した結果, 代謝異常とそれによるさまざまな臨床症状を呈する病態で, 肝切除およびそれに伴う生体への侵襲によって惹起される. 肝切除後肝不全には, 大量肝切除に起因するものや, 黄疸肝や肝硬変など背景肝に起因するものがある. 黄疸肝では, 胆汁欝滞により肝細胞ミトコンドリアの酸化的リン酸化が障害され, ATPの産生低下が起こる. さらに胆管炎を合併すると, 減黄後も胆汁鬱滞が遷延するため, 肝切除後肝障害の原因となる. また, 肝切除術の対象として最も多い肝細胞癌は, 背景に線維化を伴う慢性肝炎や肝硬変といった障害肝を有するため, 肝切除限界は低く術後肝不全のリスクは高い. 術後肝不全の治療の原則は, 原因である肝機能障害・再生障害因子を除去し, 機能不全に陥った肝臓の機能を代行・補助しながら, 肝への血流, 酸素供給を維持, 改善させて肝再生を促すことである. 呼吸・循環を適切に管理し, 全身状態の改善・維持に努めることが基本であり, 特殊な治療では, 血液浄化療法, 肝細胞保護・肝再生促進を目的とする治療および高圧酸素療法などがある. ただし, 経過中に感染症などの合併症を併発することも少なくなく, 多臓器不全へ進行した場合の予後は非常に厳しい. したがって, 肝不全に対する治療法の検討も大切であるが, 術後肝不全に陥らないために, 術前の肝予備能や肝線維化・肝炎活動性の把握と適切な術式の選択が肝要である.

記事本文はM-Review会員のみお読みいただけます。

メールアドレス

パスワード

M-Review会員にご登録いただくと、会員限定コンテンツの閲覧やメールマガジンなど様々な情報サービスをご利用いただけます。

新規会員登録

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る