腫瘍マーカー―遺伝子・分子・蛋白マーカーの活用―
乳癌の腫瘍マーカー
Surgery Frontier Vol.13 No.4, 59-63, 2006
乳癌で腫瘍マーカーを測定する目的は, 術後サーベイランス, 進行, 再発乳癌のモニタリング, 治療効果の判定である. これらを目的として, 本邦では腫瘍マーカーはルーチン検査となっているが, 欧米ではエビデンスが不十分との判断から日常診療での使用は推奨されていない. 最近, 日本乳癌学会班研究から, 腫瘍マーカーによる治療効果判定に関するretrospectiveおよびprospectiveな検討が行われ, その有用性が報告され新たなエビデンスが生まれつつある. 現在汎用されている腫瘍マーカーは, CA15-3, CEA, またはNCC-ST-439であるが, いずれも感度が低いのが問題である. 骨転移マーカーでは, 骨吸収マーカーの1CTPが汎用されるようになってきた. 新規のマーカーとして, 血清HER2, 末梢血中腫瘍細胞, 血清メチル化DNAなどがある. 前者はすでに保険適応になっており, トラスツズマプの効果予測因子として有用である. 後の二者は, まだ開発中のマーカーであるが, 予後の予測などに期待が寄ぜられている.
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※記事の内容は雑誌掲載時のものです。