特集 ヒトの再生をめぐる諸問題
軟骨の再生
HORMONE FRONTIER IN GYNECOLOGY Vol.30 No.1, 43-48, 2023
関節軟骨は修復能に乏しく,損傷を受けると自然治癒せず,治療薬はない。軟骨は免疫原性が低いことが知られ,同種軟骨片移植が海外で行われているが,ドナー不足が課題となっている。そこで再生による治療が期待されており,損傷部への細胞移植治療が実現している。自家軟骨細胞,間葉系細胞の移植が行われ,その修復機序はtrophic effectとされている。われわれはヒトiPS細胞から軟骨細胞と軟骨細胞外マトリックスからなる軟骨組織を作る方法を開発した。iPS細胞由来軟骨は胎児期の軟骨に相当し,関節軟骨損傷部に移植することで損傷部を再生治癒することが期待できる。非臨床試験にて有効性と安全性を検証し,臨床研究へと進めている。
「KEY WORDS」軟骨,再生,細胞外マトリックス(ECM),iPS細胞,膝関節
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