最近,ゲノムワイド関連解析(GWAS)により,さまざまな疾患や体質の関連遺伝子が同定され,月経困難についても立て続けに報告された。日本,中国,欧州の3つのデータセットにおいて同様にnerve growth factor(NGF)近傍の遺伝子領域が月経困難と関連していた。また,これらの一塩基多型(SNP)は,NGFのエンハンサーであるlong non-coding RNARP4-663N10.1の発現と関連していることが推定された。また,われわれが同定したIL1A遺伝子領域については,子宮内膜症のGWASで報告された領域と共通であった。このように,GWASのデータから抽出された遺伝子領域は,月経困難のメカニズムの解明の有力な手掛かりになるとともに,有力な新規治療ターゲットとなりうる。
特集 ゲノム時代の生殖内分泌学
ゲノムと月経困難症
掲載誌
HORMONE FRONTIER IN GYNECOLOGY
Vol.28 No.2 31-37,
2021
著者名
平田 哲也
記事体裁
抄録
/
特集
疾患領域
代謝・内分泌
診療科目
産婦人科
/
糖尿病・代謝・内分泌科
媒体
HORMONE FRONTIER IN GYNECOLOGY
Key Words
GWAS,月経困難症,NGF,IL1A,eQTL
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。