最近,ゲノムワイド関連解析(GWAS)により,さまざまな疾患や体質の関連遺伝子が同定され,月経困難についても立て続けに報告された。日本,中国,欧州の3つのデータセットにおいて同様にnerve growth factor(NGF)近傍の遺伝子領域が月経困難と関連していた。また,これらの一塩基多型(SNP)は,NGFのエンハンサーであるlong non-coding RNARP4-663N10.1の発現と関連していることが推定された。また,われわれが同定したIL1A遺伝子領域については,子宮内膜症のGWASで報告された領域と共通であった。このように,GWASのデータから抽出された遺伝子領域は,月経困難のメカニズムの解明の有力な手掛かりになるとともに,有力な新規治療ターゲットとなりうる。