特集 ゲノム時代の生殖内分泌学
ゲノムと子宮腺筋症
HORMONE FRONTIER IN GYNECOLOGY Vol.28 No.2, 21-25, 2021
子宮腺筋症は,月経過多・月経困難を伴い,不妊,流早産のリスクとなる女性の生活の質(QOL)に影響する疾患であるが,発生機序は明らかでない。子宮腺筋症に対して次世代シーケンス(NGS)を用いた解析が行われ,子宮腺筋症病変の約40%にがん関連遺伝子であるKRAS遺伝子の体細胞変異が認められた。この症例の多くでKRAS遺伝子変異を伴う内膜症を合併していた。また,KRAS遺伝子変異は子宮腺筋症症例や妊娠・経腟分娩既往症例の子宮内膜に多くみられた。今回ゲノム解析の観点から子宮腺筋症の発生機序について考察したが,子宮内膜症の浸潤や妊娠・経腟分娩との関連が示唆される結果となった。
「KEY WORDS」子宮腺筋症,子宮内膜症,次世代シーケンシング(NGS),子宮内膜,KRAS
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