遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)に関する最近の目覚ましい研究成果は治療成績だけでなく,取り巻く社会環境をも大きく変えつつある。卵巣がん未発症者に対しては化学的予防やサーベイランスも選択肢となるが,確実に卵巣がんの発症予防に繋がるリスク低減卵管卵巣摘出術(RRSO)が昨今注目を集めている。2020年4月からは乳がん既発症のHBOC症例に対するRRSOが保険収載となり今後の普及が期待されるが,一方で術中の手術操作や術後の病理学的検索において留意するべき点がある。HBOC卵巣がんに対してはPARP阻害薬が臨床導入され,これまでの治療成績を大きく改善させており,今後は相同組換え修復異常に着目した治療戦略が検証されることとなる。われわれはHBOC診療に関する最新の知見を常に把握し日常診療に還元していかなければならない。
特集 一気にやって来た! 産婦人科におけるゲノム医療時代
産婦人科における遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)診療
掲載誌
HORMONE FRONTIER IN GYNECOLOGY
Vol.27 No.4 11-15,
2020
著者名
小林 佑介
/
青木 大輔
記事体裁
抄録
/
特集
疾患領域
代謝・内分泌
/
癌
診療科目
産婦人科
/
腫瘍内科
/
糖尿病・代謝・内分泌科
媒体
HORMONE FRONTIER IN GYNECOLOGY
Key Words
遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC),BRCA1/BRCA2遺伝子,PARP阻害薬,リスク低減卵管卵巣摘出術(RRSO)
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。