良性腫瘍と考えられる卵巣囊胞と鑑別を要するものに,機能性囊胞と悪性腫瘍がある。機能性囊胞の診断に役立つのは患者の年齢と内分泌環境である。生殖年齢女性ではホルモンの変化に応じて卵胞,黄体などがさまざまな変化を示す。その際に内分泌環境や卵巣機能に異常があると,しばしば卵巣囊胞の形態を示す。ただし,形態的には良性腫瘍と同様のことが多く,画像での鑑別は困難である。このような機能性囊胞は月経不順などの内分泌異常を伴っている場合やホルモン剤の使用により発症しやすい。定期的に観察していると自然経過により消失することが多い。また,卵巣広汎性浮腫(massive ovarian edema)は卵巣の間質の浮腫を伴う良性の充実性病変であり,慢性的・間歇的な茎捻転が原因と考えられている。急性腹症として発症することが多く,充実性のため悪性腫瘍と鑑別が困難なことも多いが,被膜直下の多数の卵胞が特徴的な所見として鑑別に有用である。多囊胞性卵巣症候群など卵巣が腫大している状況が背景にあることが多い。
ホルモンQ&A
Q1 良性腫瘍と考えられる卵巣囊胞の鑑別診断と管理について教えてください。/Q2 子宮筋腫とその合併症について,診断と治療のポイントを教えてください。
掲載誌
HORMONE FRONTIER IN GYNECOLOGY
Vol.27 No.3 71-73,
2020
著者名
大須賀 穣
記事体裁
Q&Aシリーズ
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抄録
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連載
疾患領域
代謝・内分泌
/
癌
診療科目
産婦人科
/
腫瘍内科
/
糖尿病・代謝・内分泌科
媒体
HORMONE FRONTIER IN GYNECOLOGY
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。