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特集 漢方医学の妙諦を探る

漢方薬の利水作用とは―利水剤の薬理作用とアクアポリンの密接な関係―

礒濱洋一郎

HORMONE FRONTIER IN GYNECOLOGY Vol.26 No.4, 19-23, 2019

近年,脳神経外科領域では慢性硬膜下血腫の治療に五苓散ゴレイサン柴苓湯サイレイトウのような利水作用をもつ漢方方剤がよく用いられている。この利水剤とは,東洋医学的には生体内の水の停滞や偏在を是正することと理解されているが,薬理学的な解明も進み,水チャネルとして知られるアクアポリン(AQP)の機能調節と密接な関係にあることがわかってきた。特に,五苓散は細胞膜を介した水の移動,炎症反応の亢進,血管内皮細胞の遊走亢進といったAQP類の多面的な機能をすべて抑制し,慢性硬膜下血腫の治療や予後管理に合理的な作用を示す。
「KEY WORDS」五苓散,アクアポリン,浮腫,炎症,血管新生

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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