子宮平滑筋はほかの平滑筋諸臓器と異なり,一生のうちに数回しかその本来の機能を果たさない。しかしながら妊娠期の持続的な数ヵ月に渡る拡張期をみても,分娩時の一気に強力な収縮を正確に果たす様子をみても非常に特徴のある平滑筋臓器である。また,その機能不全は早産,過期産,妊娠後出血など,重篤な合併症を引き起こす。よって,子宮平滑筋の収縮メカニズムの特徴を非妊娠時,妊娠時,分娩期と環境の異なるなかで生理学的に理解することは非常に重要なことであり,この重篤な合併症を防ぐ治療薬の開発の起点となる可能性があることからもこの分野の研究の意義は大きい。本稿では,子宮平滑筋の収縮メカニズムを最新の知見を取り入れながらほかの平滑筋臓器と比較することで,イオンチャネル,Ca感受性の観点から妊娠・分娩に至る変化を今後の展望も含め解説する。
「KEY WORDS」子宮平滑筋,イオンチャネル,膜電位,カルシウム感受性,周期性自発性収縮
「KEY WORDS」子宮平滑筋,イオンチャネル,膜電位,カルシウム感受性,周期性自発性収縮