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特集 女性のメンタルヘルスとそのケア

特集にあたって

水沼英樹

HORMONE FRONTIER IN GYNECOLOGY Vol.25 No.3, 10, 2018

精神障害の発症には幼年期の負の体験などが深く関与しているという,いわゆるフロイト以来の精神分析学派の考えに対し,心の病は脳化学物質の変調によって引き起こされるという考えが永らく対峙していたが,正常者でもリゼルグ酸ジエチルアミド(LSD)の摂取によって妄想や幻覚,幻聴を簡単に経験できることが知られるようになり,現在では,精神障害は生活習慣やストレスなどの要因によって神経伝達物質に変調をきたして発症するという後者の考えが主流となっている。その後ゲノム解析技術の発展とともに,脳内化学物質の変調をもたらす遺伝子の探索も行われたが,精神障害に関連する遺伝子の発見はみられたものの,その単一遺伝子はみつからず,精神疾患は単一遺伝子疾患ではなく,環境すなわちストレスと個人の相互作用が非常に重要であるとの考えが改めて認識されるようになっている。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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