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ホルモンQ&A

Q1 子宮内膜症を伴う不妊症にGnRHアゴニストは有効でしょうか?/Q2 子宮内膜症を伴う不妊治療には何が有効でしょうか?

澤田健二郎木村正

HORMONE FRONTIER IN GYNECOLOGY Vol.25 No.1, 64-66, 2018

A1:子宮内膜症を伴う不妊症に対して薬物療法が有効であるというエビデンスは認められない。2007年に報告されたコクランレビューでは,性腺刺激ホルモン放出ホルモン (gonadotropin releasing hormone;GnRH) アゴニストや経口避妊薬を含むいずれの排卵抑制治療も,プラセボとの比較および無治療との比較において,妊孕性の改善に寄与しないことが示されている(オッズ比1.02,95%信頼区間 (CI) 0.70~1.52,p=0.82)1)。GnRHアゴニストなどの薬物療法を行っている間は排卵が抑制され妊娠が成立しないこともあり,欧州ヒト生殖学会議 (ESHRE) の2014年のガイドラインにおいて,「子宮内膜症患者に対して妊孕性改善を目的として排卵抑制を伴うホルモン治療を行うべきではない(グレードA)」と明記されている2)。少なくとも妊孕性の改善のみを目的にGnRHアゴニストを子宮内膜症患者に投与すべきではない。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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