特集 妊娠成立過程における最新のトピックス
初期胎盤形成―初期胎盤形成における母体らせん動脈のリモデリング―
HORMONE FRONTIER IN GYNECOLOGY Vol.25 No.1, 59-63, 2018
初期胎盤形成において,絨毛間腔へ酸素や栄養を供給する母体らせん動脈はextravillous trophoblastによって再構築(リモデリング)される。らせん動脈リモデリング不全は,その後に妊娠高血圧症候群や胎児発育不全をもたらす原因となる。組織学的検討から,らせん動脈リモデリングの主役は血流に逆行して血管壁を浸潤するendovascular trophoblastであり,血管周囲に存在する脱落膜ナチュラルキラー (NK) 細胞やinterstitial trophoblastが補完的役割を果たしていると考えられている。これまでの研究で,胎盤酸素環境,血小板,脱落膜NK細胞,子宮に局在する心房性ナトリウム利尿ペプチド (ANP) などが適切ならせん動脈リモデリングの遂行のために重要な因子として提唱されている。
「KEY WORDS」extravillous trophoblast,endovascular trophoblast,らせん動脈リモデリング,酸素環境,脱落膜NK細胞,血小板
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