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特集 妊娠成立過程における最新のトピックス

排卵

島田昌之

HORMONE FRONTIER IN GYNECOLOGY Vol.25 No.1, 17-21, 2018

排卵は,排卵前卵胞に黄体形成ホルモン (LH) サージが作用することで,卵胞膜の破裂,顆粒膜細胞の黄体化,卵丘細胞層の膨潤および卵の成熟(第二減数分裂中期への進行)が誘導され,成熟卵が卵丘細胞層とともに卵管へと排出される複合的な生理現象である。さらに,LH受容体は,卵胞膜と顆粒膜細胞に発現し,卵丘細胞にはほとんど存在せず,卵には発現しないことから,LH刺激を卵丘細胞や卵に伝達する仕組みも必要となる。つまり,排卵前卵胞内の局所的,時期特異的な変化が段階的に誘導されることで,排卵現象は完結される。最近の知見で,排卵現象そのものが精子機能を高めることも明らかとなったことから,排卵機構の解明は,排卵障害のみでなく卵成熟不全,黄体機能不全,受精障害をも解決するために重要であるといえる。
「KEY WORDS」黄体形成ホルモン (LH),EGF様成長因子,卵丘細胞,卵成熟,卵胞液

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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