<< 一覧に戻る

目で見る生殖機能温存手術

子宮頸癌

田中京子藤井多久磨青木大輔

HORMONE FRONTIER IN GYNECOLOGY Vol.19 No.4, 4-7, 2012

「はじめに」わが国における子宮頸癌の罹患数は子宮頸がん検診の普及により漸減傾向にあったが, 近年は横ばいとなっている. 特に20~30歳代の若年者の罹患数が年々増加傾向にあり社会問題となっている. 近年, 女性のライフスタイルの変化による晩婚化や未婚の増加, 妊娠・出産年齢の高年齢化などに伴い, 妊孕性温存希望の子宮頸癌症例が増加しており, 根治性が求められる癌治療と機能保持が重要な妊孕性温存という2つの概念のなかで治療法の選択に苦慮することも多い. 本稿では, 早期浸潤癌に対する生殖機能温存手術としての広汎性子宮頸部摘出術について述べる. 「I. 広汎性子宮頸部摘出術」子宮頸癌では臨床進行期に合わせた治療方針が推奨されている. 臨床進行期I A2期ではリンパ節郭清を含む準広汎子宮全摘出術以上の手術, I B期~II期に対しては広汎子宮全摘出術が推奨されており1)生殖機能温存は困難であるが, 近年, 初期の浸潤子宮頸癌に対して広汎性子宮頸部摘出術が試みられている.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る