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不育症

臨床編 不育症と着床前診断

杉浦真弓佐藤剛服部幸雄

HORMONE FRONTIER IN GYNECOLOGY Vol.19 No.1, 63-68, 2012

Summary
 不育症の原因は抗リン脂質抗体,夫婦染色体異常,子宮奇形である。胎児染色体異常も51%を占め,真の原因不明は約20%と推定できる。習慣流産に対する着床前診断・胚スクリーニングの自然妊娠に対する優位性は立証されていない。また,原因不明に対する治療法も確立されていない。女性の加齢が最も大きな危険因子であるため,時間を無駄にしないことを遺伝カウンセリングで伝えること,社会に対する啓発も重要である。

Key words
●反復流産 ●着床前診断(PGD) ●胎児染色体 ●転座 ●不育症

はじめに

 不育症は「妊娠はするけれど流産,死産によって生児が得られない場合」をいう。習慣流産は3回以上連続する流産であり,これに含まれる。不育症に関する本邦初の疫学調査を愛知県岡崎市で実施した。習慣流産は0.9%,不育症は4.2%,妊娠経験のある女性の38%が流産を経験していることが明らかになった。

 不育症の原因は抗リン脂質抗体,夫婦染色体異常,子宮奇形と考えられているが,半分以上が原因不明とされている。一方,散発流産の50~70%に胎児の染色体異常がみられるが,それは偶然起こることであって,反復流産の原因としては認識されてこなかった。しかし,胎児染色体異常が原因不明不育症の多くを占めることも明らかになってきた(図1)。

胎児染色体異常は女性の加齢と関係し,昨今の女性の妊娠年齢の高齢化によって本邦の不育症原因頻度が変化していることも推測される。
 名古屋市立大学が行っている検査を表1に示した。

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