Summary  卵胞の構成要素である顆粒膜細胞は,エストロゲン産生のみならず,その増殖過程において卵胞発育に深く関与している。顆粒膜細胞の増殖は,細胞内シグナルPI3K/Akt経路,ERK経路で制御されているが,PTEN発現の変化は,PI3K/Akt経路を介した顆粒膜細胞増殖制御に影響を与えることが報告されている。さらに,われわれは卵胞閉鎖と密接な関連がある顆粒膜細胞のアポトーシスをスフィンゴシン-1-リン酸(S1P)が抑制することを見出した。顆粒膜細胞の増殖制御,アポトーシス抑制機構の解明は,卵胞発育の理解に役立つばかりでなく,不妊治療における良好卵獲得といった臨床的視点からも興味深いテーマである。 Key words ●顆粒膜細胞 ●PTEN ●S1P