プロラクチンの生理・病理の新展開
ストレスとプロラクチン
HORMONE FRONTIER IN GYNECOLOGY Vol.18 No.3, 47-55, 2011
Summary
プロラクチンは,中枢作用としてストレス性胃潰瘍防止作用や末梢作用として副腎皮質機能増強作用を発揮することが明らかにされたことから,アンチストレスホルモンとして注目されている。ストレスにより血中に放出されたプロラクチンは,脈絡叢のプロラクチン受容体によって脳内に取り込まれ,室傍核に作用して胃潰瘍を防止する。また,プロラクチンは,副腎皮質に直接作用してグルココルチコイドを分泌するとともに副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の作用を増強する。動物のストレス反応性は,副腎皮質からのグルココルチコイド分泌様式により,ACTH主導タイプ(ストレス過敏性タイプ)とプロラクチン主導タイプ(ストレス耐性タイプ)の2種類に大別される。
Key words
●ストレス ●プロラクチン ●副腎皮質 ●胃潰瘍 ●コルチコステロン
はじめに
動物はさまざまなストレスが原因となって免疫機能が低下したり,生殖機能が抑制されたりすることは古くから知られている 1)2)。しかし,近年の研究からプロラクチンに免疫機能増強作用があることが報告され,生体防御作用が注目されている。動物にストレスが負荷されると,初めに視床下部・下垂体・副腎皮質軸が活性化して生体防御反応が作動する。このときに,プロラクチンの分泌も必ず亢進する。プロラクチンは,これまで催乳ホルモンとして雌のホルモンのイメージが強かったが,ストレス負荷時には雄でも同様に分泌される。しかし,雄でのプロラクチンの生理作用は明らかではなかった。本稿では,最近の研究成果からストレス時に分泌されるプロラクチンの生理作用について紹介する。
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※記事の内容は雑誌掲載時のものです。