Summary  マウスを主にした研究において胚性幹細胞(ES細胞)で蓄積された生殖細胞誘導技術,生殖補助技術などの研究は2008年のYamanakaらによって報告された人工多能性幹細胞(iPS細胞)によって飛躍的に進む可能性がある。iPS細胞はES細胞と同等の能力(多分化能,自己複製能)をもち,患者の体細胞から樹立可能であることから,ES細胞で問題となっていた移植における拒絶反応,作製において初期胚を破壊する必要があるという倫理的問題などを解決することができるからである。本稿ではES細胞,iPS細胞について概説し,また多能性幹細胞からの生殖細胞分化についても紹介したい。