「論文のポイント」

[1]非典型溶血性尿毒症症候群は血小板減少,溶血性貧血,急性腎障害を3徴とし,末期腎不全に至る重篤な疾患である.

[2]近年,補体関連遺伝子の異常による補体第二経路の異常活性化が原因であることが解明されつつある.

[3]治療はこれまで血漿療法が中心であったが,新たな抗補体薬であるエクリズマブの2年間のTMA進展抑制と寛解維持,またその忍容性が報告された.

[4]治療法の選択や予後予測は原因遺伝子によって異なり,遺伝子の検索は今後より重要になると予想されることから,今後更なる知見の集積が必要である.

「はじめに」非典型溶血性尿毒症症候群(atypical hemolytic uremic syndrome:aHUS)は,血栓性微小血管症(thrombotic microangiopathy:TMA)を呈する疾患であり,急性期には消耗性血小板減少,微小血管症性溶血性貧血,急性腎障害を呈し,長期的には末期腎不全に至る予後不要な疾患である1).