1から学ぶ肺高血圧症(PH)―飛躍的に改善したPHの予後について,最新の診断と治療から学ぶ
[3]慢性血栓塞栓性肺高血圧症
掲載誌
血栓と循環
Vol.23 No.4 54-59,
2016
著者名
坂尾 誠一郎
記事体裁
抄録
疾患領域
循環器
/
高血圧
/
呼吸器
診療科目
循環器内科
/
心臓血管外科
/
呼吸器内科
/
放射線科
媒体
血栓と循環
「1 はじめに」2013年2月,フランスのニースで開かれた第5回肺高血圧症ワールドシンポジウム1)では,慢性血栓塞栓性肺高血圧症(Chronic thromboembolic pulmonary hypertension:CTEPH)についての新たなステートメントとして,選択的肺血管拡張薬である可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激薬:リオシグアトの有効性が示された2).さらに日本が世界に先駆けて施行したBalloon pulmonary angioplasty(BPA)3)-5)が今後の新たな治療法として取り上げられた.しかし,BPAに関しては十分なエビデンスがないため治療アルゴリズム上確立した治療法として認められていなかった.2015年9月,今回新たに欧州の呼吸器・循環器合同の肺高血圧症ガイドライン(ESC/ERS GUIDELINES)6)が発表され,そこではCTEPHを含めた肺高血圧症分類4群が刷新され,BPAを含めた治療アルゴリズムが改定された(図1).本稿では今回のESC/ERS GUIDELINESで示されたCTEPHのステートメントを参考に,CTEPHの最新の病態や治療について解説したい.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。