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特集 ジェンダーと血栓症

Ⅳ.疾患 1.心房細動の脳卒中リスクの男女差

井上博

血栓と循環 Vol.23 No.4, 32-36, 2015

「論文のポイント」
[1]多くの疾患に性差がみられるように心房細動にも性差がみられる.有病率は一般に男性の方が高く,抗不整脈やアブレーション治療を受ける率も男性の方が高い.
[2]塞栓症の危険因子(うっ血性心不全,高血圧,年齢≧75歳,糖尿病,脳梗塞・一過性脳虚血発作)は女性で多くみられる.
[3]そのためCHADS2スコアは女性で高く,多くの報告で血栓塞栓症,脳梗塞の発生率は女性(とくに高齢女性)が高いことが示されている.
[4]J-RHYTHM Registryでは,血栓塞栓症(脳梗塞,一過性脳虚血発作,末梢動脈塞栓症)の発生率は男性が高い傾向を示した(有意差なし).
[5]海外の報告で女性は塞栓症リスクが高いが,それは高齢女性(≧75歳)の場合であり,高齢(≧75歳)そのものが塞栓症リスクになるので,「女性」のみを取り上げて塞栓症リスクにしなくてもよいと思われる.
「キーワード」血栓塞栓症/危険因子/CHADS2/CHA2DS2-VASc/出血

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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