1から学ぶ肺高血圧症(PH)―飛躍的に改善したPHの予後について,最新の診断と治療から学ぶ
[2]PHの診断について
掲載誌
血栓と循環
Vol.23 No.3 78-84,
2015
著者名
波多野将
記事体裁
抄録
疾患領域
循環器
/
高血圧
/
呼吸器
診療科目
一般内科
/
循環器内科
/
呼吸器内科
/
老年科
媒体
血栓と循環
「1 肺高血圧症(PH)の診断」肺高血圧症(pulmonary hypertension:PH)とは,安静時に右心カテーテル検査で実測した平均肺動脈圧(mPAP)が25mmHg以上により定義される.以前は「運動時のmPAP≧30mmHg」もPHの定義に含まれていたが,健常人であっても高齢者では運動中に容易にmPAP≧30mmHgとなってしまうことなどから,第4回世界肺高血圧症シンポジウム(4thWSPH)以降はPHの定義から除外された.また,4thWSPHではmPAPが21~24mmHgのものを境界域肺高血圧症(borderline PH)と定めたが,これらの症例の自然歴や治療介入の意義などはいまだ明らかではないため,5thWSPHではborderline PHという言葉の使用は避けるべきと定められた.ただし,mPAPが21~24mmHgであって,特に全身性強皮症をはじめとした膠原病の患者,あるいは親族に特発性/遺伝性肺動脈性肺高血圧症(IPAH/HPAH)と診断されている患者がいる場合などは,将来PHを発症するリスクが高いものとして厳重に経過観察する必要がある.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。