特集 血栓・塞栓症からみた肺高血圧症
Ⅴ.肺高血圧症のトピックス 2.ニース分類
血栓と循環 Vol.23 No.3, 62-66, 2015
「論文のポイント」
[1]肺高血圧症ニース分類:肺高血圧症ニース分類は,2013年ニースで開催された肺高血圧症ワールドシンポジウムで提案され,現在世界標準となっている肺高血圧症の臨床的分類法である.
[2]PAH:PAHは,正確な発症機序は不明であるが,肺動脈に共通の特徴的な病理的所見を持つ,高度肺高血圧を主徴とする疾患群である.
[3]左心疾患による肺高血圧症:左心系疾患が存在し,肺高血圧症の定義を満足しかつPAWPが15mmHg以上の肺高血圧症である.一般に肺高血圧の程度は重症ではないが,時に非常に高度の肺高血圧合併例がありPAHの併存が想像されている.
[4]肺疾患および/または低酸素血症による肺高血圧症:呼吸器疾患に合併する肺高血圧症である.本症も通常肺高血圧症としての重症度は低いがPAHの合併を考える症例が存在する.
[5]CTEPH:肺動脈内の器質化血栓が原因と考えられている肺高血圧症である.肺高血圧症は一般に難治性であるが,CTEPHは現在では唯一,観血的治療で完治も期待できる可能性がある肺高血圧症例である.
「キーワード」肺高血圧症/肺動脈性肺高血圧症(PAH)/慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)/肺高血圧症臨床分類(ニース分類)
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