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特集 EBMからみた抗血栓薬の選択

Ⅲ.各論 7.術後(整形外科,外科領域)血栓症予防における抗凝固療法のEBM

左近賢人向井幹夫池田正孝

血栓と循環 Vol.23 No.1, 57-62, 2015

「論文のポイント」
[1]一般外科領域ではVTEに対する理学的予防が普及したにもかかわらず,近年術後PTEの発生数は増加しており,更なる予防には薬物的予防が不可欠である.
[2]腹部外科,整形外科手術のVTE予防では未分画ヘパリンに加え,新規抗凝固薬としてエノキサパリン,フォンダパリヌクス,さらにはエドキサバン(整形外科下肢手術のみ)が使用されている.
[3]欧米のガイドラインは抗凝固療法のVTE予防効果と副作用である出血のバランス(trade off)から,薬物的予防の有効性を評価し,推奨しようとしている.
[4]薬物的予防の有効性は致死性VTEと致死性出血を指標として正確に評価できるが,それらの発生頻度は非常に低く,エビデンスの構築には膨大な症例数(労力,時間と費用)を必要とする.
[5]未分画ヘパリンおよび低分子量ヘパリンは致死性PEあるいは出血を指標とした検討で有効性が示されている.
[6]実証に膨大な症例が必要な(一患者の有効性ではごくわずかな差の)エビデンスであっても,基本的にそれを適用しなければならない.
「キーワード」手術/未分画ヘパリン/エノキサパリン/フォンダパリヌクス/エドキサバン

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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