出 典
Marwick TH, et al:
Exercise training for type 2 diabetes mellitus: impact on cardiovascular risk: a scientific statement from the American Heart Association.
Circulation 119(25): 3244-3262, 2009

「要約」「はじめに」2型糖尿病は米国をはじめとする多くの先進諸国において増加の一途をたどっており, その合併症は健康寿命や医療費に甚大な損害を与えている. 一方, 運動ならびに身体活動は糖尿病患者の血糖コントロールや2型糖尿病患者の予後に大きな影響を及ぼすことが多くの研究結果から示されている. これまで, 2型糖尿病患者に対する運動処方は明確にされておらず, 安全で効果的な運動プログラムを明確にするため, 2009年に米国心臓協会(AHA)から心血管リスクに焦点をあてた2型糖尿病患者に対する運動トレーニングのガイドラインが報告された. 本稿では, 本ガイドラインをもとに2型糖尿病患者における運動の効果や運動処方の方法について紹介する. 「2型糖尿病患者に対する運動トレーニングの効果」運動トレーニングによる糖代謝指標[ヘモグロビンA1c(HbA1c)や血糖値, インスリン抵抗性]の改善効果は, 多くの大規模臨床研究の結果より明らかにされており, 週あたり135~270分の運動トレーニングを6ヵ月行うことにより, 0.38~0.97%のHbA1cの低下が見込まれている1).