出 典
Saposnik G, et al:
Diagnosis and management of cerebral venous thrombosis: a statement for healthcare professionals from the American Heart Association/American Stroke Association.
Stroke 42(4): 1158-1192, 2011

「要約」「はじめに」脳静脈血栓症は全脳卒中の1%程度の稀な疾患で, しばしば若年性に発症する. 血栓傾向を示す疾患や妊娠・脱水・感染症などの一過性疾患, 経口避妊薬など特定の薬剤, 頭部外傷など, 種々の危険因子が脳静脈血栓症を引き起こす. このように脳静脈血栓症は背景が多彩なため均一な治療方針を示すことが困難である一方で, 神経内科や脳神経外科だけでなく多くの診療科で遭遇する可能性がある疾患である. 本ガイドラインの目的は, 脳静脈血栓症に関する論文を概要し, その診断と治療に関する推奨を示すことである. 「疫学」脳静脈血栓症は発症率が年間100万人あたり5人程度で, 全脳卒中の1%程度を占める疾患である. 約8割が50歳以下で, 男性より女性に多いことが知られている. 男女比に関しては妊娠, 産褥, 経口避妊薬の関与が影響していると思われる. 「病因(表1)」「1. 血栓性素因」血栓性素因は脳静脈血栓症の病因として, 遺伝性と後天性を合わせて34.1%を占めたとthe International Study on Cerebral Venous and Dural Sinuses Thrombosis (ISCVT)で報告されている1).