【特集 プロスタグランジン研究の新展開―エイコサノイド周辺脂質を含めた研究動向】
7.ω3脂肪酸代謝産物のメタボローム解析と抗炎症作用
掲載誌
血栓と循環
Vol.21 No.3 41-45,
2013
著者名
久保田唯史
/
磯部洋輔
/
有田誠
記事体裁
抄録
疾患領域
循環器
/
代謝・内分泌
/
消化器
診療科目
循環器内科
/
消化器内科
/
糖尿病・代謝・内分泌科
/
消化器外科
媒体
血栓と循環
[論文のポイント] [1] ω3脂肪酸には古くから抗炎症作用や心血管保護作用を有することが知られており, ω3脂肪酸がレゾルビンなどの抗炎症性メディエーターに変換され, 機能する可能性が考えられている. [2] 筆者らは, EPA添加食を与えたマウスの腹腔浸出液における脂肪酸代謝物の包括的メタボローム解析を行い, ω3位の二重結合がエポキシ化された17,18-EpETEを起点に複数の代謝物が生成することを見出した. [3] 新規代謝物のうち, 12-OH-17,18-EpETEに急性腹膜炎モデルにおける好中球の浸潤をngレベルの低用量で抑制し, in vitroにおいても好中球の走化性因子に対する応答を抑制する活性が認められた. [4] 17,18-EpETEおよびそこを起点とした代謝はω3位に二重結合を持つω3脂肪酸に特徴的な代謝経路であり, 抗炎症作用などω3脂肪酸固有の機能の発揮に重要である可能性が考えられる.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。