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特集 プロスタグランジン研究の新展開―エイコサノイド周辺脂質を含めた研究動向

特集によせて

牛首文隆

血栓と循環 Vol.21 No.3, 5, 2013

プロスタグランジン(PG)とトロンボキサン(TX)から成るプロスタノイドは, アラキドン酸に由来する生理活性脂質である. その作用は, 各プロスタノイドに特異的な7回膜貫通型受容体を介して発揮される. 従来, プロスタノイドは, 炎症のメディエーターとして働くことがよく知られている. また, プロスタノイドが血小板機能調節の中心的な役割を果たすことから, その関連薬物が抗血小板薬として広く臨床応用されている. 一方, その受容体が生体のさまざまな平滑筋組織に広汎に分布することから, プロスタノイドの平滑筋収縮・弛緩作用が古くから薬理学的に研究され, プロスタノイド受容体の機能的分類や遺伝子の同定に繋がった. また, 最近のプロスタノイド受容体欠損マウスを用いた研究により, 従来知られていなかったプロスタノイドの新規作用やさまざまな疾患の病態形成におけるプロスタノイドの役割が明らかにされつつある. 加えて, ω-3系脂肪酸代謝産物を代表とするエイコサノイド周辺脂質に関する総合的な研究も, 飛躍的な進展をみせている. 本特集では, 心臓・腎臓疾患病態形成, 血管・リンパ管新生, 抗体非依存性急性炎症および動脈硬化・動脈瘤形成におけるプロスタノイドの新規役割について, 各分野の先進的研究者にご解説をお願いした. また, 最近話題となっているω-3系脂肪酸代謝産物のメタボローム解析やその作用についても, この分野でのエキスパートにご解説をお願いした. また最近, 永らく期待されていた7回膜貫通型受容体のX線構造解析が成功を修めている. これに関しても, プロスタノイドとの関連を含めて先駆的な先生にご解説をお願いした. 最後に, 血小板機能調節におけるプロスタノイドの新規役割についてご紹介いただいた. 執筆をいただいた各先生方には, 可能なかぎり臨床との関連や展望についても記載をお願いしたことから, 本特集が広く読者の先生方のお役に立てれば幸いである.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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