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脳血管内治療の最前線

6.Onyxを用いた脳動静脈奇形塞栓術

宮地茂

血栓と循環 Vol.20 No.3, 45-50, 2012

§論文のポイント

[1]脳動静脈奇形(AVM)の塞栓術は,液体塞栓物質を用いてシャントを減少させ,後治療としての摘出術または定位的放射線治療の安全性や有効性を高めるために行われる.

[2]4年前に本邦で初めてAVMの塞栓術のために認可されたOnyxTMは,従来の重合型塞栓物質であるNBCAに比べて根治率が高いことが報告され,わが国でも普及しつつある.

[3]OnyxTMの注入の仕方とカテーテル抜去法には,ある程度の技術が必要であるが,摘出術前の前処置として有効である.


§キーワード
脳動静脈奇形/塞栓術/Onyx/NBCA

はじめに

 脳動静脈奇形に対する血管内治療は,細いマイクロカテーテルをnidus付近まで到達させ,その栄養動脈を閉塞することによりシャント血流を減ずることを目的として行われる.手術,定位放射線治療の前処置で,出血のリスクを減少させ治療の有効性を高める意味で有用であるが,後治療の合併症を減らすのにも役立っている1)2).塞栓物質としては従来接着性の高い重合型液体塞栓物質であるn-butyl cyanoacrylate(NBCA)が一般的に用いられてきたが3),4年前に,ethylene vinyl alcohol copolymerを有機溶媒(DMSO)で溶解した新しい析出型の液体塞栓物質(商品名:Onyx®: EV3)が本邦でも保険収載された.この塞栓物質はnidusへの到達性がよくNBCA使用例では10%前後であった塞栓術のみでの根治例が40%まで上昇したとされる4).本邦では適応が脳動静脈奇形の手術的摘出を前提とした術前処置に限定されており,そのためこの治療は脳血管内手術ではなく,動脈塞栓術として算定されている.本稿ではOnyxの使用方法および注意点について概説する.

Onyxとは

 本体はエチレンビニル・アルコール・コポリマー: ethylene vinyl alcohol copolymer (EVOH)で,溶媒として・ジメチルスルホキシド: dimethyl sulfoxide (DMSO)という有機溶媒を用いて液体化されている.水分(血液)にふれることにより,溶媒であるDMSOが血液中に拡散して,瞬間的に析出して固形化する5) (図1).

X線不透過性を持たせるためにタンタル微粒子:tantalum powder(Ta)を混ぜている.固形化は表面から内側へ向かって進み,fragmentationせずに最終的にスポンジ状のポリマー塊を形成する(図1).
 内部は固まるのに時間がかかるため,中心部のゲル状の部分が前進を続け,まるでゆっくり溶岩流が流れていくような動きをする.DMSOは神経毒性があることが確認されているが6),拡散する量では問題ないことが報告されている7).

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