はじめに  血管内皮細胞は,内皮由来弛緩因子(endothelium-derived relaxing factor:EDRF)と総称される複数の血管弛緩因子を産生・遊離し,血管恒常性の維持に重要な役割を果たしている1)2)(図1).このEDRFには3種類の因子が知られており,これまでにプロスタサイクリン(prostacyclin:PGI2)と一酸化窒素(nitric oxide:NO)は同定され,一部治療薬への臨床応用も行われており,その重要性は広く認知され,その発見者に対して各々ノーベル賞が授与されている.そして第3のEDRFが,本稿で取り上げる内皮由来過分極因子(endothelium-derived hyperpolarizing factor:EDHF)である.