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データブック アテローム血栓症の大規模臨床試験 PART3

8.薬物療法・副作用など d.遺伝子多型 3.チトクロームp-450の遺伝子多型とクロピドグレルに対する反応

河野浩章前村浩二

血栓と循環 Vol.19 No.3, 307-309, 2011

出 典
Mega JL, et al:
Cytochrome p-450 polymorphisms and response to clopidogrel.
N Engl J Med 360(4):354-362, 2009

※図表に関しましては、割愛させていただいております。

要 約

背景

 冠動脈ステント植え込み術(PCI)後に,アスピリンとチエノピリジン系の血小板P2Y12ADP受容体阻害薬であるクロピドグレルの併用が標準的抗血小板治療となっている.しかし,クロピドグレルの薬力学的反応に個人差がみられ,その作用が弱い場合に心血管イベントリスクの増加が懸念される.クロピドグレルはプロドラッグであり,チトクロームp-450(CYP)酵素依存性の2段階の酸化により活性体へ変化する.このCYP酵素遺伝子には遺伝子多型が存在し,この酵素機能を低下させる遺伝子多型がクロピドグレルの血小板抑制作用に影響を及ぼすと考えられている.このことから,クロピドグレルの薬物動態や薬力学的反応を低下させる遺伝子多型を有する患者は,虚血イベントを生じる率がより高いことが予想される.この仮説を検証するため,まずクロピドグレルの活性化に関与するCYP遺伝子群で,遺伝子多型が活性型代謝産物の血中濃度,血小板抑制効果に及ぼす影響を健常人で検討した.次に,Therapeutic Outcomes by Optimizing Platelet Inhibition with Prasugrel-Thrombolysis in Myocardial Infarction(TRITON-TIMI) 38臨床研究で,クロピドグレルを服用した急性冠症候群の患者集団において,機能低下型CYPアレルが,心血管イベントの発症頻度と関連しているかを検討した.

対象

 薬物動態や薬力学的な解析には162名の健常人を対象とし,心血管イベントとの関連については,TRITON-TIMI 38臨床研究においてクロピドグレル300mgローディング後に1日75mgの維持量を15ヵ月服用した症例を対象とした.

方法

 クロピドグレルの活性代謝産物の血中濃度は,液体クロマトグラフィにより質量分析法で測定され,AUC(血中濃度-時間曲線下面積)を算出した.薬力学的反応は,光透過型血小板凝集計で20μMのADPへの反応により評価し,最大血小板凝集のベースラインから減少した絶対値(ΔMPA)で表した.CYP遺伝子型は,クロピドグレルの活性化に関与するCYP1A2,CYP3A5,CYP2B6,CYP2C9,CYP2C19の既知の一遺伝子多型について検討した.
 心血管イベントとの関連については,心血管疾患による死亡,心筋梗塞または脳卒中を主要な評価項目とし,2次的な有効性の評価項目は,明確なまたは確からしいステント血栓とした.CYP遺伝子群で,機能低下アレルを少なくとも1つ有するか否かに基づいて,対象をキャリアとノンキャリアの2グループに分けてイベント発症を比較した.

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